数字のマジック

私が勤めている塾は中学受験専門の進学塾です。
ですが、いわゆる「教育ママ」のような方は
私の知る限りほとんどいません。

ですが、やはり親は子供が心配ですから、
今の子供の状態がどうなのかを知りたいというのが当然です。
もちろんそういう方には電話や面談などで今の子どもたちの状態をお伝えするのですが、
私たちがお話しした内容よりも、テストの点数の方を気にされる方も結構おられます。

確かにテストの結果というのは子どもたちの力をはかる尺度のひとつではあるのですが、
あくまで、「ひとつ」でしかありません。
100点を取った子供が、50点の子供の2倍かしこい訳ではありません。
テストの難易度も得点に関係あるのですから、得点は問題の内容によって操作できるのです。
50点だから必ずしも「出来ていない」訳ではないし、
100点だから「十分わかっている」とは限らないのです。

以前勤めていた塾は中学生がメインでしたので、
当然定期テスト前には対策授業を行っていました。
ところがいくつかの学校については、
「塾のテスト対策は必要ない」というケースもありました。
というのも、学校の先生がテスト前にプリントを配って、
そこからそっくりそのまま出題されるのです。
私が見た限りそのプリントだけでは十分に範囲を網羅しているとは思えなかったし、
そのプリントをただ丸覚えしただけで実力がつくとは思えないのですが、
生徒達はテストで得点がとりたいのでそのプリントばかりやっています。
それで実際に高得点がとれてしまうのです。
そのときの社会科のテストは平均点が90点だったそうです。
それで「自分たちは実力がある。」と思いこんでしまうのですから、
何のためにテストをやるのかわからないと感じます。

広島では4年前に中学生の通知表の評価が
「相対評価」から「絶対評価」に変わりました。
ただ、その移行に反対意見もあって、いくつかの中学校では一時期、
移行措置として「相対評価」と「絶対評価」の二つの通知表を出していました。
私が当時勤めていた塾のエリアでもそういう中学があったのですが、
そのときある生徒の通知票の成績が、10段階評価で
「絶対評価」が10、が「相対評価」が3   だったのです。
その生徒のお父さんはひどく怒って学校に抗議をし、
それでも納得行かなくて私の所にその通知票を持ってきてくださったのです。
私もこれはおかしいと思いました。

こんな風に数字での評価が、子供の実力を正しく反映していない場合があるのです。

先程書いたように、テストの点数というのは問題でかなり変わります。
だから「偏差値」という数値があるのですが
「偏差値」だって、絶対的な指標ではありません。
今はそんなにいませんが、以前は
「できるだけ偏差値の高い学校に行かせたい。」
と考える保護者の方も結構おられました。
でも偏差値ってテストごとに変わるわけです。

あるテストの偏差値と別のテストの偏差値は
問題の難易度や受験者が違うわけですから
当然違います。
でもそのことをご存じない保護者の方がよくおられます。

偏差値で学校を判断するのは間違っていると私は思いますし、
そのことを保護者の方にも理解いただきたいです。
(たいていの方はもちろん知っておられますが。)

何にせよ、子供の一生を左右するようなことを
「数字」だけで決めるのはどうかと思います。
「数字」は目安にはなりますが、絶対的なものではないのです。

私自身もよく錯覚します。日々思い返しては反省です。
[PR]
by soul_doctor2005 | 2006-07-20 00:16 | 塾の仕事を通じて
<< 広島港花火大会 ネパールのビール(続) >>