責任転嫁

私はほぼ毎日仕事帰りに書店(または古本屋)に行くのが日課なのですが、
先日、「百ます計算」で有名な陰山英男先生の本を読む機会がありました。
(といっても、冒頭部分を立ち読みしただけなのですが、)
さすがに現場で実績を上げてこられただけあっていいことがかかれています。

私が読んだ部分だけなので恐縮ですが
小学校低学年の子どもは、「個人差」が大きく、
同じ内容を一律に教えても出来ない子もいる。
それは「今は出来ない」だけで
「学力がない」ということではないのだが、
そのままの状態で理解できないまま上の学年に上がってしまうことで
本当に「学力がない」状態になってしまう。
学習内容自体はあとからでも取り返せるが、
それ以上に本人が「勉強が出来ない(とされた)」
期間ですっかりやる気を無くしてしまっていることが
子どもの力を伸ばす一番の障壁になっている。
そんな内容でした。(覚えている限りですが…)

まさにおっしゃる通り。そう思いました。
陰山先生は、尾道市の土堂小学校の校長として素晴らしい成果を挙げられましたが
なるほどなと感じられます。

今、学校現場では問題山積です。
いじめ問題や履修不足問題などでいろいろ問題になっております。
先生方には陰山先生を是非見習って欲しいものです。

勿論、大半の現場の先生方は全力で一生懸命努力なさっていると思いますが、
先日ちょっと私からすると信じられないような話を耳にしました。

まず、私の勤務する塾の生徒の保護者の方から聞いた話ですが
その生徒の通う小学校の教頭先生が、保護者を前にして
「塾に行っている生徒とそうでない生徒の学力の差があり過ぎる。
今、塾に行っていない方は状況が許すのなら塾に行って欲しい。」
という趣旨の発言をしたそうなのです。
さらに、「今うちに来ているこどもたちの学力が伸びないのは
広島市が私たちが希望していた教科書を採択しなかったからだ。」
とも発言しているそうなのです。
伝聞なので、はっきりとしたニュアンスなどが分からないのですが
もしこの文面通りの発言をしたのなら責任放棄も甚だしいものです。
「自分たちの学校では、学力は伸ばせない」
と自らさじを投げてしまうわけですから…。

また、この週末に開かれた某国立中学校の入学説明会でこんな発言があったそうです。
「私たちの学校の生徒の学力が低いと言われているがそれは家庭の責任です。」
これは恐らくこの学校の附属の小学校の生徒のことだと思いますが、
この附属の小学校には、
いわゆる「お受験」をして入学をしている子供たちが集まっているのです。
少なくとも入学時に学力が低いということはないですし、
保護者の教育に対する熱意が(公立小に比べて)低いとも思えません。

この付属小の子どもは数人私たちの塾にも来ています。
その中で
今年の春、付属小に通い付属中への内部進学を希望していた子どもが不合格になりました。
例年通りであれば、彼女の学力ならば問題なく内部進学出来たはずですが、
学校が予告なく合格ラインを挙げた為に不合格になったのです。
彼女だけでなく、内部進学を希望していた子どもの大半が不合格になったそうです。
その理由なのですが、
「付属小から付属中に上がってくる生徒の学力が低過ぎるから。(校長の発言)」
というものだそうです。(これは彼女のお母さんから聞きました。)

無責任な話です。
6年間も指導しているのです。
それでもし本当に学力が低いのなら、
それは学校の責任のはず。

6年間も教えてきた子供たちを、
「学力が低いから」と放り出す学校の神経が理解できません。
この学校は小学校でありながら、
高学年になるとほとんど中学に近い内容を教え、
社会科では所々高校範囲の内容まで取り入れていることもあるのです。
そんなことまでしておいて、「学力が低い」と簡単に言えるなんて本当におかしい。
本当に理解できません。自分たちの責任だという意識がないのですから。
本当にそう思うのなら、もっと基礎的な内容をすればいいのですから…。

私も端くれながら、子供たちの学習指導を行っている者として
こういう人たちがいることに怒りを覚えます。
失礼な表現かもしれませんが
今回紹介した学校の先生達は、
恐らく勉強の出来る子ども達にだけ授業がしたいのでしょう。
そしてその子達が、自分の力で学力を伸ばしているのを
「指導力がある」と錯覚しているのではないでしょうか? 
授業はできるけど指導はできない。
本当の意味での指導力は無いのです。そう思わざるを得ません。

私は日ごろから「学校の先生より下手だったらこの仕事を辞める。」と思っています。
実際にそう発言したこともあります。
これは自慢をしたいと言うことではなく責任なのです。
自分が預かった子供たちに学校以上の学習指導が出来なかったら塾の意味がない。
これは塾の指導者としての最低限の責任です。

以前、同じ教材で同じ単元を指導しても
毎年同じ指導内容にはならないと記事に書いたことがあります。
子どもが違うからそれが当然です。
自分が工夫して「今の子どもに合うものを」と考えて内容を変えるのです。
子どもの成績の善し悪しは自分の責任だと思っていますし、
自分が頑張れば子どもの力は伸びると思っています。
その責任は絶対に放棄しません。

塾の経営からすると
学校の先生の指導力が低くて、
子供たちがこぞって塾に来てくれれば万万歳ですが、
単純にそう喜べない心境です。

「学校の先生ももっと頑張ってくれよ!」と思うと同時に
「自分の娘が行く学校がこんな所だったらどうしよう。」
とも感じます。
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by soul_doctor2005 | 2006-11-02 00:46 | 塾の仕事を通じて
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